この記事だけでも多数ですが…氷山の一角です。
ロンサム・ジョージは、ガラパゴス諸島のピンタ島に生存したピンタゾウガメ最後の生き残りでした。2012年のジョージの死は、そのカリスマ的な存在感から種の絶滅を語る際に完璧なストーリーになっています。
ピンタゾウガメの個体数は、19世紀に捕鯨従事者が食料として大量に捕獲したために激減しました。ロンサム・ジョージは1971年に動物学者であるJozsef Vagvolgyiが発見、捕獲しました。ジョージを最後にピンタゾウガメの個体は確認されていません。
国際自然保護連合(IUCN)は、1996年に野生におけるピンタゾウガメの絶滅を宣言しました。研究者たちは他のゾウガメ種と交配させてジョージの遺伝子を残そうとしましたが、願い叶わず2012年に寿命を迎えました。当時メディアに大きくとりあげられたジョージの伝説は、今も語り継がれています。
でも、ジョージのストーリーは絶滅の典型例ではありません。マレーシアの石灰岩でできた丘だけに生息していた小さな宝石と呼ばれたカタツムリは、セメント業者が丘を破壊したために絶滅に追い込まれました。ジョージよりもマスコット的な絶滅ストーリーといえるでしょう。
科学者は、現在の種の絶滅は自然に起こる1000倍のスピードまで加速していて、1日あたり数十種が絶滅していると推測しています。しかしながら、絶滅していくのは無脊椎動物や植物のような誰も気に留めない種ばかり。生態系の危機がどれくらい深刻な問題なのかも、私たちにどこまで知識があるのかを推測するのも困難です。
地球上には500万から1000万、もしかすると1兆もの種が存在するかもしれないのに、把握できているのは200万種未満。IUCNのレッドリストには絶滅種(もしくは野生での絶滅種)がたった1000種しか載っていませんが、ある研究によると無脊椎動物を含んだ場合、7%の種が絶滅しているそうです。
2010年代にIUCNが絶滅を宣言した種を以下にまとめます(原文には160種まとめられています)。絶滅が宣言されるまでには、最後に存在が確認されてから調査期間などを経るため、数十年かかります。絶滅の宣言は、政府が調査や保護の必要がなくなったと判断した(見捨てた)ことを意味します。
これらの種の絶滅が生態系の危機を表しているのはもちろんですが、どのように絶滅したのかが、今の時代を象徴しています。
・生息域の破壊
・故意または不注意による外来侵入種の持ち込み
・環境汚染
・乱獲
・気候変動
種の絶滅はこれらのうちいくつかの要因が重なって起こります。広範囲に生息している種は少なく、多くは特定の山や河川流域などに限られています。
ある地域固有の植物種や動物種は、大気の成分のバランスを保ったり、水をキレイにしたり、受粉をしたりするなど、生態系を正常に保つために重要な役割を果たしています。
たとえ絶滅しなくても、これらの種の数が減るだけで生態系に影響を与えてしまうのです。
お先真っ暗な話だけじゃなく、種の絶滅を避けるために人類にできることにも触れておきましょう。もっと保護する地域を増やして、もっと種の生命を大切にすれば、多くの種の絶滅を防げます。
ここに挙げるリストは、生態系の危機の深刻さと、特定地域での人間活動が生態系にとって最悪の事態につながることを表しています。
希望が持てるならそれもいいでしょう。でも、私たち人間がひとつの種として地球環境を健康に保ち、他の種と共存するためには、国際社会が連帯して、真剣に、度が過ぎるほど急進的な行動をする必要があります。
Bettongia anhydra (Desert bettong)
オーストラリアの砂漠を調査していた科学者が発見した唯一のネズミカンガルー(見た目がネズミとカンガルーを足して割った感じ)の正確な生息域はあまり知られていません。最後に確認されたのは1933年で、おそらく侵入種のネコとキツネが原因で絶滅したと考えられています。IUCNによる正式な絶滅宣言は2016年。
Conilurus capricornensis (Capricorn rabbit-rat)
この小さな夜行性のネズミは、オーストラリアの洞窟でヨーロッパ人が渡来する前のものと思われる化石が発見されています。生きた個体は発見されておらず、科学者は外来ネコの野生化と土地利用の変化によって絶滅したと考えています。2003年に比較的新しい頭蓋骨が見つかり、まだ生存しているのではないかと期待が膨らみましたが発見には至らず、2016年にIUCNが絶滅を宣言しました。
Dusicyon avus (Dusicyon avus)
広範囲に生息したこのイヌは、南米のパンパスとパタゴニアの平原に住んでいました。考古学者は紀元前2世紀のものと思われる墓地でその形跡を発見しており、おそらくペットとして飼われていたのではないかと考えられています。正確な絶滅時期は不明ですが、放射性炭素年代測定法によると、326年から496年前に絶滅したようです。狩猟や家畜犬との生存競争に負けたのが絶滅の原因という説が有力とのこと。IUCNは2015年に絶滅リストに追加しました。
Leporillus apicalis (Lesser stick-nest rat)
オーストラリア南部に生息した大きな巣を作るネズミ。20世紀の初めにはあまり見かけられなくなり、先住民の報告では1930年代から1940年代頃から減少が顕著になったそうです。IUCNによって絶滅を宣言されてずいぶん経った2008年にオーストラリア西部の洞窟で死体が発見されたため、絶滅種から絶滅危惧種にアップグレードされましが、2016年に再び絶滅リストに逆戻りしました。
Melomys rubicola (Bramble Cay melomys)
レポートによると、オーストラリアのグレートバリアリーフにある小さな島に生息したげっ歯類、ブランブル・ケイ・メロミスは、地球温暖化によって絶滅した最初のほ乳類といわれています。高潮によってエサとなる植物を失ったため、1983年以降に個体数が減り、2009年以降その姿は見られなくなりました。IUCNは2016年に絶滅を宣言しました。
Notomys robustus (broad-cheeked hopping mouse)
このほっぺたが大きめなトビネズミは、19世紀にオーストラリア南部でフクロウの吐しゃ物の中から発見された頭部の骨や毛皮だけで知られていて、生きた個体は発見されていません。岩が多くてほんの少しの水が流れる地域で生息していたそうです。2016年にIUCNが絶滅を宣言しました。
Pennatomys nivalis (Nevis rice rat)
カリブの島に生息していたNavis Rice Ratは先住民の食料でしたが、ヨーロッパからの入植者が持ち込んだクロネズミやマングースによって絶滅に追い込まれました。IUCNは2011年に絶滅を宣言しました。
Pipistrellus murrayi (Christmas island pipistrelle)
オーストラリア領のクリスマス島に生息していたコウモリは、木の幹の裏側や枯葉の下など木々の隙間に身を潜めていました。1990年代に始められた大規模な音響調査によってリアルタイムで数が減少し、生息域から姿を消し始めました。2008年までに生息域は1カ所だけとなり、2009年には4匹まで個体数が激減しました。種を保存するための保護プロジェクトの許可をオーストラリア政府が数カ月ためらっている間に最後の1匹になってしまった個体の確保にも失敗。科学者が最後にその個体を確認できたのは2009年8月27日のことでした。IUCNは2017年に絶滅を宣言しています。絶滅の原因については、外来侵入種の影響もあったと考えられますが、入植者渡来後も島の原生林は75%残っており、謎のままです。IUCNは保護政策をためらったオーストラリア政府を非難しています。
Pseudomys auritus (Long-eared mouse)
オーストラリアの森林や藪の中に生息していたこのネズミについては、科学者が1800年代に集めた痕跡から得られたことしかわかっていません。IUCNは小さな種と比較して割合がばらついていたことで生存競争に敗れたと考えているようです。2016年に絶滅が宣言されました。
Sus bucculentus (Indo-chinese warty pig)
このイボイノシシは、東南アジアの森林に生息していましたが、1892年を最後に記録が残っていません。科学者は、2つの頭蓋骨から得られた情報しか持っていないそうです。最近になって頭蓋骨が見つかったことから、もしかするとまだ生存しているかも、という期待も湧いたのですが、DNA調査の結果、それは東南アジアに分布する一般的なイノシシのものである可能性が高いという結論に至りました。絶滅認定後、データ不足による絶滅取り消しを経て、IUCNが2016年に改めて絶滅を宣言しています。
Acrocephalus luscinius (Guam reed-warbler)
Acrocephalus(スズメの仲間)は、太平洋諸島をはじめとして世界各地で繁殖していますが、開発とネコやネズミなどの外来侵入種によって生息域が脅かされています。Guan reed-wilderi(ナンヨウヨシキリ)は、グアムの淡水湿地ではよく見かけられていましたが、1968年から農薬やヘビの侵入、火災などによって個体数が激減。2016年にIUCNが絶滅を宣言。
Aegolius gradyi (Bermuda saw-whet owl)
このユニークな小さいフクロウは、最近の化石による研究で17世紀からバミューダ島に生息していたことが判明。入植者が森林を伐採し、ネコやネズミなどを持ち込んだために絶滅。IUCNは2014年に絶滅を宣言。
Akialoa ellisiana (Oahu ‘akialoa)
ハワイ諸島は人間活動による種の減少が最も顕著な地域のひとつで、ミツドリ類がその代表例にあたります。多様な植物に適応して派生したミツドリ類は、それぞれがハワイ諸島の特定地域でしか生息できないため、現在確認できるのは当初の半分以下まで減少しています。このOahu ‘akialoaは、病気と森林開発によって姿を消し、2016年に正式に絶滅が宣言されました。
Alectroenas payandeei (Rodrigues blue-pigeon)
化石の調査によると、このハトはインド洋に浮かぶモーリシャス領ロドリゲス島に17世紀から生息。海運業者が持ち込んだネズミ類によって18世紀を待たずに絶滅した可能性が高いそう。2014年に、遡る形でIUCNの絶滅リストに追加されました。
Aplonis ulietensis (Raiatea starling)
フランス領ポリネシアのライアテア島に生息していたこの鳥は、18世紀に描かれた絵画のみで知られ、それ以降は確認されていません。2016年に正式に絶滅が宣言されましたが、原因は人間が持ち込んだネズミだと考えられています。
Bermuteo avivorus (Bermuda hawk)
17世紀に存在したバミューダ島固有のタカが絶滅した原因はハッキリしていませんが、野生のブタの持ち込みや、狩猟が有力のようです。IUCNは2014年にこのタカを絶滅リストに加えました。
Chenonetta finschi (Finsch’s duck)
化石によると、大型で飛べないカモのFinsch's duckは、ニュージーランドの森林に生息していました。1500年代までは生息していた痕跡があるものの、人間に食べられたり外来種が入ってきたりしたことが原因で姿を消しました。2017年に、正式に絶滅リストに加えられました。
Coenocorypha barrierensis (North Island snipe)
長くて丸いくちばしを持つ茶色いシギは、ニュージーランドのリトル・バリア島で1870年に確認されたのを最後に姿が見られなくなりました。外来ほ乳類の過剰な持ち込みによって、学者が生存状況の記録を始める前に絶滅してしまったと考えられています。正式に絶滅が宣言されたのは2016年のことでした。
Colaptes oceanicus (Bermuda flicker)
近年になって科学者が発見した痕跡によると、バミューダに生息したこのキツツキは、植民地支配が行なわれた17世紀に、原生林の減少と侵入種の増加によって絶滅したそうです。IUCNは2017年に絶滅を宣言。
Columba thiriouxi (Mauritius woodpigeon)
化石の調査によると、Mauritius woodpigeon(モリバト)は1730年頃までインド洋のモーリシャス島に生息していたそうです。狩猟が容易だったことや侵入種のクロネズミが原因で絶滅に至りました。IUCNが絶滅を宣言したのは2017年。
Alinea luciae (St. Lucia skink)
このカリブ地域に生息したトカゲは、マングースが持ち込まれたことによって1937年に絶滅したと考えられています。その後の徹底した調査もすべて空振りに終わり、2015年に正式に絶滅が宣言されました。
Chelonoidis abingdonii (Pinta Island tortoise|ピンタゾウガメ)
ロンサム・ジョージは1910年ごろにガラパゴス諸島のピンタ島で生まれました。19世紀に捕鯨業者がピンタゾウガメを大量捕獲したため、ジョージが生まれた頃には、生存しているピンタゾウガメはほとんどいませんでした。1979年に持ち込まれた外来種の山羊が原生植物を破壊したため、さらに生存が困難に。1971年に保護されたジョージは他の島へ移されました。その後の大規模な調査でもピンタゾウガメの個体は発見されず、1996年に野性環境での絶滅が宣言されました。
科学者たちはジョージの遺伝子を残すために他の種との交配を試みるなどの努力を重ねましたが、願いが叶うことはなく、2012年に最後の生き残りだったジョージが死亡。2016年にIUCNが絶滅を宣言しました。
Clelia errabunda (Underwood’s mussurana)
博物学者が長い間記録を残してきた黒くて大きいヘビを捕食するヘビ、Underwood’s mussuranaがカリブのセントルシア島で最後に確認されたのは1800年代。同島は人間によって様々な変化が起こったため、絶滅の原因はハッキリしていませんが、このヘビがいなくなったことはハッキリしています。2016年にIUCNが絶滅を宣言。
Contomastix charrua (Contomastix charrua)
この小さなトカゲは、ウルグアイの沿岸にあるカボ・ポロニオの花こう岩層で発見されました。1977年以降、博物学者による記録は残っておらず、繁殖時期のツーリズムなどの影響で絶滅したと考えられています。IUCNは2016年に絶滅を宣言しましたが、もしかすると類似種の変異だったのではないかという疑問も残っているそうです。
Copeoglossum redondae (Redonda skink)
このトカゲの一種は、カリブのアンティグア・バーブーダに属するレドンダ島に生息していました。1863年に博物学者による記録がはじまりましたが、人間が持ち込んだヤギやネズミによってエサだった固有の植物が減ったことや、ネズミに捕食されたことにより絶滅。1873年以降の調査では発見されていません。IUCNは2016年に絶滅を宣言。
Cyclura onchiopsis (Navassa Rhinocerous iguana)
このイグアナは、カリブの小さなナヴァッサ島に生息していました。最後の個体は博物学者が殺してしまったようですが、絶滅に至った原因はハッキリしていません。外来侵入種のヤギやネズミが原因だと主張する人もいれば、鉱山労働者に殺されたのが原因と主張する人もいるようです。IUCNは2011年に絶滅を宣言しています。
Emoia nativitatis (Christmas Island whiptail-skink)
1970年代まではオーストラリア領のクリスマス島でよく見かけられたトカゲ。木々の隙間から光が射し込む場所を好むこのトカゲが減り始めたことに科学者が気づいたのは1998年のことでした。2005年に生息規模が確認されてからわずか5年後には自然環境から姿を消してしまいました。絶滅には外来種であるアシナガキアリとオオカミヘビの持ち込みや、採掘による生息地の破壊などいくつもの要素が重なっています。2014年にGumpという名前の最後の個体が死んでしまいました。2017年にIUCNが絶滅を宣言。
Erythrolamprus perfuscus (Barbados racer)
バルバドス固有の長さ約1mのヘビは、1963年に校庭で見かけられたのを最後に姿を消してしまいました。大規模な開発と外来侵入種のマングースやネコ、ネズミの増加によって絶滅したようです。IUCNの絶滅リストには2016年に追加されました。
Leiocephalus cuneus (Leiocephalus cuneus)
この大型のトカゲは小アンタイル諸島で小さな生き物を捕食しながら生息していましたが、17世紀以降記録が残っていません。この勇敢なトカゲは、外来侵入種のネズミと生き残りを賭けてたたかいを繰り広げたようです。IUCNは2016年に絶滅を宣言しました。
Nactus soniae (Reunion nactus)
科学者はこのヤモリの化石からわずかな情報しか得られていません。1500年代以降にトカゲは生息していたようですが、侵入種によって絶滅に追い込まれたと思われます。2019年に絶滅が宣言されました。
Bradycellus chavesi (Sao Miguel ground-beetle)
このオサムシは、大西洋にあるサンミゲル島のわずか1平方マイル(約2.6平方キロメートル)未満の狭い地域だけに生息していました。気候変動による干ばつが原因で1919年を最後に生息が確認されなくなり、2018年にIUCNが絶滅を宣言。
Calathus extensicollis (Pico ground beetle)
大型で肉食のオサムシは、大西洋に浮かぶアゾレス諸島のピコにある高地に生息していましたが、1859年を最後に調査をしても個体を確認できなくなり、2018年にIUCNによって絶滅が宣言されました。
Centrobunus braueri (Centrobunus braueri)
セイシェル島の森に生息したクモが博物学者によって最後に確認されたのは1894年。外来侵入種のシナモンが生息域を占めてしまったため、必要な環境を失ったクモは絶滅。IUCNが2014年に絶滅を宣言。
Dicrogonatus gardineri (Gardiner’s giant mite)
この巨大なダニは、セイシェル諸島のマヘ島に生息していましたが、1909年を最後に学者による記録が途絶え、近年行なわれた二度の調査でも成果はありませんでした。外来侵入種のシナモンの繁殖によって固有の植物を失ったのが絶滅の原因ではないかといわれています。IUCNによる絶滅宣言は2014年。
Eucarlia alluaudi (Eucarlia alluaudi)
セイシェル諸島のマリアンヌ島でこのヤスデが最後に確認されたのは1892年。島が農業用地として開発された後に放置されたため、侵入種に取ってかわられる結果になりました。2014年にIUCNが絶滅を宣言。
Geonemertes rodericana (Geonemertes rodericana)
腐って湿った森林が固有のこのワーム(蠕虫)は、1918年にモーリシャスにあるロドリゲス島で発見されました。同島が農業のために開発されてから近年になって再植樹されるまで、生息に適さない環境のまま数十年放置されました。1993年を含め調査が行なわれましたが、再び発見されることはありませんでした。2014年にIUCNが絶滅を宣言しています。
Hirstienus nanus (Hirstienus nanus)
科学者もこのクモについては情報を少ししか持っていません。1908年にセイシェル諸島のマヘ島で最後に目撃されたのが最後のようです。侵入種のシナモンの木と生息地の破壊によって絶滅。2014年に絶滅が宣言されました。
Labidura herculeana (St. Helena giant earwig)
手くらいの大きさがある世界最大のハサミムシは、大西洋のセントヘレナ島に生息していました。科学者が最後に島を訪れて標本を手に入れたのが1967年。ハサミムシが身を潜めていた大きな岩が開発によって取り除かれてしまったことや、外来侵入種に捕食されたことが生存を脅かしました。その後、科学者が痕跡を発見したため、今もまだ人里離れた場所にある岩の下にいるんじゃないかというわずかな希望があるにもかかわらず、IUCNは2014に絶滅を宣言しました。
Melanoplus spretus (Rocky mountain locust)
北米で最も一般的だったこのバッタがなぜ絶滅してしまったのかはハッキリわかっていません。1875年のレポートによると、その生息域は110マイル×1800マイル(約510,000平方メートル)に及んでいたそうです。にもかかわらず、1902年以降の記録が残っていません。土地利用の変化や、繁殖に利用する土壌を耕されてしまったのが原因と考えられています。まだ存在する可能性はなきにしもあらずなのだそうですが、痕跡が見つかっていないため、IUCNが2014年に絶滅を宣言しました。
Metazalmoxis ferruginea (Metazalmoxis ferruginea)
セイシェル諸島のマヘ島固有のこのクモが最後に記録されたのは1892年。外来侵入種の植物が持ち込まれたことによって絶滅。2014年にIUCNによって絶滅が宣言されました。
Alburnus nicaeensis (Iznik shemaya)
このコイ科の淡水魚は、20世紀後半までトルコ共和国のイズニク湖で確認されていました。水産業者が他の種を湖に放流したために数が激減し、IUCNが2014年に絶滅を宣言。
Anabarilius macrolepis (Anabarilius macrolepis)
Anabarilius macrolepisは中国の異龍湖固有の魚でしたが、湖水を農業に大量使用したために湖が1981年に干上がってしまい、個体が確認されなくなり、2011年に正式に絶滅。
Aphanius splendens (Golcuk killifish)
トルコのギョルジュク湖だけに生息したメダカは、水産業者が湖に放した外来種との生存競争に負け、1980年代を最後に見られなくなり、2014年にIUCNが絶滅を宣言。
Atherinella callida (Cunning silversid)
Cunning silversid(トウゴロイワシ)はメキシコのベラクルスを流れる川に生息した魚として知られています。最後に確認されたのは1957年で、生息環境の悪化、環境汚染、ダム建設などが原因で絶滅。IUCNは2019年に絶滅を宣言。
Bythinella gibbosa (Bythinella gibbosa)
フランスのトゥールーズ周辺に生息したこの淡水産巻き貝は、都市開発によって川が破壊されたために過去50年間姿が見られなくなり、IUCNが2010年に絶滅を宣言。
Cambarellus alvarezi (Cambarellus alvarezi)
メキシコのたったひとつの湿地に生息したこの淡水ザリガニは、地下水が農業用水として大量に汲み上げられ始めた1989年以降個体数が激減し、最終的には湿地が枯渇したため絶滅。2010年にIUCNが絶滅を宣言。
Chambardia letourneuxi (Chambardia letourneuxi)
科学者が貝の形跡をナイルデルタで発見したときには、このイガイはすでに絶滅していると考えられていましたが、20世紀初めに生存が確認されました。しかし、大規模な調査にもかかわらず、それ以降は発見されることがなくなり、IUCNによって2010年に絶滅が宣言されました。
Cyprinodon arcuatus (Santa Cruz pupfish)
米アリゾナ州の湧水や人工池に生息するメダカの一種は、上流の湿地帯から辿り着いたと考えられています。水利用の変化やオオクチバスが放されたことが原因で絶滅。数十年に渡って姿を確認できなかったため、IUCNが2013年に絶滅を宣言しましたが、ひょっとすると誰かの家の水槽で今も泳いでいるかもしれないというわずかな望みは残っているみたいです。
Galba vancouverensis (Galba vancouverensis)
カナダのバンクーバー島南部と米ワシントン州のサン・ホアン島に生息したこのタニシは、1939年以降の記録が残っていません。開発による環境汚染が原因で絶滅した可能性が高いようです。2017年に絶滅が宣言されました。
Germainaia geayi (Germainaia geayi)
このイガイについてはほとんど知られていませんが、1900年代にマダガスカル島に生息したと考えられていて、オーストラリアとニュージーランドでも痕跡が確認されています。マダガスカル島の生息に適した場所で行なった調査でも発見されることはなく、IUCNが2016年に絶滅を宣言しました。
Acalypha dikuluwensis (Acalypha dikuluwensis)
コンゴ民主共和国の銅が豊かなカタンガ高原に固有の植物。露天採掘により1959年から見られなくなり、2012年にIUCNが絶滅を宣言。
Acalypha wilderi (Acalypha wilderi)
この小さくてレアな低木は、南太平洋のラロトンガ島の森に生息していましたが、開発が原因で1929年を最後に確認されなくなり、2014年に正式に絶滅が宣言されました。
Amaranthus brownii (Amaranthus brownii)
ヒユ属に分類されるこの植物は、ハワイ諸島のニホア島だけで生息が確認されています。小さな限られたエリアでもこの種を守ることはできず、外来植物の繁殖に負けて1983年を最後に見られることもなくなり、2018年にIUCNが絶滅を宣言しました。
Angraecopsis dolabriformis (Angraecopsis dolabriformis)
この花を咲かせる小さな植物は、アフリカ中部の大西洋沖にあるサントメ島で1892年に大部分が採取され、19世紀から20世紀にかけて人間が行なった自然破壊によって個体が確認されなくなり、IUCNが2018年に絶滅を宣言。
Basananthe cupricola (Basananthe cupricola)
コンゴの銅が豊富な草原地帯だけに生息していた顕花植物は、資源採掘が原因で1980年を最後に確認できなくなり、2012年に絶滅が宣言されました。
Centaurea pseudoleucolepis (Centaurea pseudoleucolepis)
このウクライナのアゾフ海周辺に固有の植物は、他の植物との交配種と考えられるため、1930年を最後に確認できなくなり、2011年に正式に絶滅しました。
Cyanea eleeleensis (Cyanea eleeleensis)
ハワイの湿地林に生息した低木。人間が持ち込んだブタやヤギ、雑草、ネズミ、カタツムリやナメクジなどの無脊椎動物等が原因で激減し、1977年を最後に発見されなくなりました。IUCNは2016年に絶滅を宣言。
Cyperus rockii (Kaua’i flatsedge)
この草のような植物は、ハワイのカウアイを流れる小川に沿って生息していました。博物学者によって最後に記録されたのは1916年で、絶滅の原因は侵入種と野生のブタと考えられています。IUCNによって2016年に絶滅が宣言されました。
Cyrtandra olona (Cyrtandra olona)
ハワイ州カウアイ島の山に生息していた低木が最後に確認されたのは1909年。絶滅へと向かうことになったのは侵入植物種との生存競争に負けてしまったからだそう。IUCNは2016年に絶滅を宣言。
Delissea subcordata (Oha)
Ohaと呼ばれる花を咲かせる低木は、ハワイのオアフ島で標高が低い森に生息していましたが、外来侵入種の植物や動物が原因で絶滅しました。2008年に痕跡が40個見つかりましたが、2015年にはIUCNが絶滅を宣言しました。
ここまで60種を紹介してきましたが、まだあと100種もあります。以降は原文で読んでみてください。