――まずは、「PasocomMini PC-8001」の特長についてお聞かせください。
[三津原氏]:一番の特徴的は、N-BASICが載っていることです。MicrosoftのN-BASICです。電源ONでPC-8001とまったく同じ起動画面が出てきます。BASICのバージョンは1.1です。PC-8001初期の頃に載っていた1.0でしか動かないソフトが(少数)あるらしいのですが、より長く使われていた1.1を採用しました。N-BASICが載ったこともあり、今回は残念ながらSmileBASICは搭載しませんでした。さらに、「PCG」(ユーザー定義キャラクタジェネレータ機能を持つ拡張ユニット。当時、ハル研究所が開発・販売していた)の機能を搭載しています。ハル研としては自社製品のPCGということで、こだわりを持って搭載しています。
――エミュレータでは、実機のROMに収められたソフトウェアやBIOSが関連各社のさまざまなしがらみで再現されないことがありますよね。レトロパソコンやエミュレータに詳しい人ほど、今回のPasocomMini PC-8001でN-BASICが実装されるのかは気になったと思います。そして、"PC-8001をハル研がやるならPCGを搭載するでしょ"となるでしょうから、実に的を射た実装と言えます。
[三津原氏]:今回もゲームが何本か同梱されるのですが、当初は16本を予定しています。専用メニューから選択して決定すると即起動します。前作の「PasocomMini MZ-80C」のときは5本でしたが、今回の「PasocomMini PC-8001」はコンテンツを充実させたほうが長く遊んでもらえると思ったので、同梱数を増やしました。
電源を入れると、N-BASICの画面が表示される。搭載バージョンは1.1なので、1.0に存在した一番右の文字が欠けるバグも修正されている――"当初は16本"ということは、ゲームが追加される可能性があるのでしょうか?
[三津原氏]:はい。権利関係の解決が難しいものは後日の提供になりそうです。本数が増えると当然、権利者との話も多くなりますので、ていねいにやっています。
――さらに増える可能性があるのですね。同梱されるゲームは後ほどまた詳しく見せていただこうと思います。
[三津原氏]:もちろん、ユーザーが作ったプログラムをセーブ、ロードすることもできます。当時の雑誌に載っていたプログラムリストを自分で打ち込んで遊ぶことも可能です。ステートセーブもできるので、当時難しかったゲームの特定のシーンを何度でも挑戦し直すこともできます。
――カセットで提供されていたタイトルは遊べるのでしょうか?
[三津原氏]:ゲームカセットは、WAVファイル化すれば、コンバート機能があるので読めます。内部メニュー上でCMTファイルの読み書きが出来ますので、お手持ちのCMTファイルを読むことができます。
――ということは、カセットのゲームがSDメモリーの速度で読み出されるわけですね。その意味では実機より手軽で快適に遊べてしまう。思い入れがあっても、テープのあの速度だとなかなか起動できないという方は多いと思います。