今年本連載で扱った機器は計47で以下のとおり。昨年2019年と比較して、スマートフォンが減った分、デスクトップパソコンが増えている程度で傾向はよく似ている。また、デスクトップパソコン+ノートパソコンの内、AMD Ryzen搭載機が6台となる。今年はRyzen搭載機がかなり増えた雰囲気だが、試用したのは少なかった感じだ。
以下、印象に残ったものをいくつかピックアップした。試用して「お、これ欲しいかも!?」と思ったのは以下の3つ(個人的に購入したマシンを除く)。理由は順に、サイズの割りに大画面、軽い、パネルがすごいとなる。
17型画面を15型筐体に収めたGeForce搭載ハイエンドノート「デル XPS 17」約814gのビジネス向け超軽量13.3型ノート「NEC VersaPro UltraLite タイプVG」4K OLEDが段違いの高画質。RTX 2070搭載ノート「HP ZBook Create G7」デルのXPS 17は記事中にも書いたが、“15.6型以上でテンキーなし”になると、いまや数える程度しか機種がない。同じ理由で筆者はMacBook Pro 16(2019下位モデル)を購入しているが、もし、XPS 17が同時期にあったら、どちらにするか結構悩んだと思う。
もともとMacBook Pro 13(2012/Core i7/16GB/500GB)からのリプレイスだが、持ち運びは狙ってなく、All-In-One的な扱いで、必要なときにマシンごと持ち出せば、そのまま仕事が継続できる的な使い方だ。
次は1kgを大幅に切ったNEC VersaPro UltraLite タイプVG。価格とキーボードバックライトがない以外は好みの1台だ。時期的に第10世代だったが、多分出るであろう第11世代Tiger Lake/Evoモデルも楽しみにしている。できればパネルは16:10になってほしいところ。
余談になるが、印象に強く残ったこともあり、後日ヤフオクで旧モデルに相当する「NEC VK22TG-N」をかなり安価で落札した。Core i5-5200U/メモリ4GB/SSD 128GB/13.3型2,560×1,440ドットで重量約850g(Lバッテリ)。メモリが4GB固定で、スピーカー出力が蚊の鳴くような音量なのは残念だが(加えてキーピッチが約18mmと少し狭い)、片手で楽々持ち上がり、同じく1kgを切るMacBook 12(2017/Core i5/メモリ8GB/SSD 512GB)と用途に応じて持ち歩いている。
最後はHP ZBook Create G7。とにかく(以前も含め)今年試用したマシンのなかでは群を抜いてパネル性能が良かった。加えてOLED。スマートフォンが液晶パネルからOLEDパネルへ変わったときの衝撃がノートパソコンでも! という感じだ。見事なリニアリティと、黒の締まりが美しい。MacBook Pro 16のパネルも良いほうなのだが、下のほうで若干乱れがある。
さて、記事へのツイートなどを眺めていると、なぜ筆者はi1 Display Proで計測した色域を載せないのか? と複数あったので理由を述べる。
まず仕様上、たとえばsRGB 100%とあるものについては、民生用の測定器で測るまでもなく、工場出荷時に調整済みだ。したがって掲載する必要はない。次に仕様上、色域について何も記載がないものはいずれにしてもsRGB 100%未満で色域は狭く、バラツキも予想される。貸出機の色域が、そのまま再現できる保証もないため掲載していない。昔ほど酷くないが色を気にする作業をする場合、そもそも仕様に明記されている機種を選ぶべきだろう。リニアリティについては、たとえsRGB 100%でも乱れていると、RGB 128/128/128の色が128/128/128の色にならない。バラツキもあるだろうが、おおよその傾向がわかるため掲載している……と言ったところだ。
上記以外では、今年はリモートが増えたこともあり、Chromebookのシェアがグンと伸びたようだ(Chromebookのシェアが1%から13%に急増。2021年には24%へ)。本連載でもChromebookそのものと、互換OSのCloudReadyを扱っている。
4万円前後で耐衝撃/防滴設計の12型Chromebook「Acer C851T-H14N」余ったマシンで無償Chromium OSをお試し! Neverwareの「CloudReady」これまでもご紹介しているが、筆者はわりと早いタイミングでChromebookを試しており、「ASUS Chromebook Flip C100PA」を経て、「HP Chromebook x360 12b」を愛用中だ。昔はそれこそChromeしか動かなかったので、使い方は限定されていたが、その後、Androidアプリ、そしてLinuxが動くようになり、結構実用的に使える環境となった。またアプリのWeb化が進んだため、Chromeだけで問題ないケースも増えた。Online版のOfficeで済む範囲(マクロが使えないなど)であれば、一般的な仕事もこなすことができる。
互換OSのCloudReadyは、Androidアプリこそ動かないものの、ほかは基本Chrome OSと同じ。ハイエンドなChromebookが少ないこともあり、これを使って以前のそれなりにハイエンドなメインマシンをChrome OS化し、爆速の環境を構築することも可能だ。以前も書いたが、古くてリソースの少ないマシンでも動くには動くが、今時のサイトをレンダリングするには、CPUパワーもメモリも必要となる。よってより新しくメモリの多いほうが使いやすいのは、言うまでもない。
と、ここまで書いたところで衝撃的なニュースが……。『GoogleのChrome OSに新展開。Chromium OSベース「CloudReady」開発のNeverwareを買収』。どういうこと!? 的な内容だ。好意的に考えれば、今後リモートが加速するなか、フリーで配布できるChrome OSをGoogle本家が得たとなる。しかし穿った見方をすれば邪魔者は消すとも考えられる。どちらに転ぶのか、来年の動向を見守りたい。
仮に前者だと、現在でもシェアは急増傾向。フリー版がOKとなると、加速度的に実稼働率が高まる可能性がある。
余談になるが、クラウド関連の話を1つ。今年開発系の仕事は、見積/請求/納品書など、個別かシステム的にかは別として、紙に印刷、閲覧/承認印……的な業務をクラウド化する案件がいくつかあった。昔ながらの紙/承認印ベースだとリモートでできないからだ。無料で使える同種のサイトもいくつかあるがこれらは基本、無料版は個人用でグループで閲覧/承認する機能がなく(調べたのは春なので、今はまた違うかもしれないが)、承認が必要な企業では用途に合わないケースも多いと思われる。
スクラッチで作ればどうにでもなるが、ひととおり動くようになるには結構なコストがかかる。そんななかおもしろいのがWordPressのテーマでこれらの機能を実現するBillVektorだ。WordPressが動けばどこでも設置でき、もともとWordPressにユーザー管理があるので、グループで利用可能。もちろんすべて無償だ。ただしそのままでは閲覧/承認の機能はない。
とは言え、ブログ(の特殊フォーム)で見積書などを構成しているため(印刷でPDF出力)、コメントをつけることができる。誰がどんな内容でコメント(OKとかNGとか承認とか却下とかのキーワードを拾う)したかを調べ、印影をつけるプログラムを追加すれば、先に書いた機能が実現可能だ。テーマのfunctions.phpを触ればどうにでもなるため、試してみるのもいいだろう(数日でできるのでは?)。筆者も前年度まではExcelだったが、少し内容は違うものの改造して今年度から使用中だ。経理用の出力も含め、ちょっとPHPを触れば欲しい機能を追加できるため重宝している。
さて、扱わなかったものとして、個人的に「お!」は、言うまでもなく、ThinkPad X1 Nano(ThinkPad初の1kg切りノートが発売! 13型2K「ThinkPad X1 Nano」~バッテリで約23時間動作、5G版も後日登場)。大昔からThinkPadユーザーにとっての悲願(笑)は、1kgを切ったモデルの登場だ。唯一ThinkPad 220@1993年がギリギリ該当するものの、いかんせん小さく非力で実用的ではなかった。そういった意味ではやっと出た1kg切りモデルとなる。
ThinkPad X1 Nano見た目はもちろんThinkPadそのもの。第11世代Tiger Lake/Evo、16:10のパネル、キーボードバックライト、LTE(5G)対応で1kg切り。文句なしだが価格が(クーポンを適応して185,900円/税・送料込から)……。今年は大量に購入したこともあり、何十万円クラスの予算はもうない。縁がなかったということで、また次の機会にとなるだろうか。