「Audacity」v3.0.0
クロスプラットフォーム対応の定番音声編集ツール「Audacity」v3.0.0が、3月17日に公開された。8年ぶりのメジャーバージョンアップとなる本バージョンでは、編集中の状態を保存したプロジェクトファイルの形式がこれまでの“AUP”形式から“AUP3”形式に変更されている。
従来のAUP形式では、拡張子が“.aup”ファイルとともにデータ本体となる複数のファイルが“(ファイル名)_data”フォルダー以下に保存されていた。しかし、この方式では、“.aup”ファイルのみを別の場所にコピーして開こうとしてもデータ本体が見つからず、開けないケースが起こりがちだった。
新しいAUP3形式では、単一のファイルにすべてのデータが含まれるため、このような問題が起こらない。技術的には、内部的に「SQLite」v3が使用されているという。また、ファイルが単一になったことで、オーディオの編集が少し高速化している一方、プロジェクトの保存はかなり遅くなる可能性があるが、得られるメリットが大きいため、変更に踏み切ったとのこと。
v3以降でもAUP形式のプロジェクトを開くことは可能だが、保存する際には自動でAUP3形式へ変換される。旧バージョンでは元のAUPファイルは開けるが、編集後のAUP3ファイルは開けなくなるので互換性に注意してほしい。
他の変更は比較的小規模にとどまる。[解析]メニューに音声が入っている部分にラベルをつけて管理できる[Sound Finder]と[Silence Finder]コマンドに変わって、[Label Sounds]コマンドが追加された。また、“Noise Gate”エフェクトが改善され、アタックタイムの最小値が1msに短縮されたほか、アタック、ホールド、ディケイの閾値を個別に調節できるようになった。
[Label Sounds]“Noise Gate”エフェクトなお、一部の環境で旧バージョンを含む「Audacity」がフリーズし、操作不能になる現象が報告されている。編集部でも「Audacity」v2.4.2およびv3.0.0でキーボードによる操作を行うとフリーズすることを確認した。フリーズが発生する場合はキーボード操作を行う前に、[編集]メニューから[環境設定]ダイアログを開き、[Interface]画面の[言語]プルダウンメニューで[English]などを選択することで回避できるようだ。
[環境設定]ダイアログの[Interface]画面から言語を[English]へ変更することでフリーズを回避できる「Audacity」は、Windows/Mac/Linuxに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在公式サイトからダウンロード可能。Windows版はWindows 7/8/10に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。