それでは、WD Cloudを利用することで、実際にどのようなことができるのかを実際に試してみよう。
活用例1:外出先からアクセス
USB接続の外付けHDDとの最大の違いは、何と言っても外出から、しかもスマートフォンやタブレットからも、自宅のデータにアクセスできることだ。前述した通り、外出先からWD Cloudにアクセスするための設定は特に必要ない。通常の初期設定を済ませれば、それだけで外出先からのアクセスが可能になる。
自宅以外のPCからもブラウザで簡単にデータにアクセス可能試しに、会社など自宅外のPCから使うことを想定してみよう。ブラウザを利用してクラウドサービスの「wdcloud.jp」にアクセスし、「サインイン」から初期設定時に登録したメールアドレスでサインインすると、安全な接続が確立され、WD Cloudにアクセスできる画面が表示される。出張先などからWD Cloudに保存されている文書を取り出したり、旅行先で撮影した写真を自宅のWD Cloudにアップロードしたりといった使い方が簡単にできるのは、単なる外付けHDDにはできない新しい活用スタイルだ。
スマートフォンからの利用も簡単だ。iPhoneやAndroid端末に「WD Cloud」アプリをインストールし、初期設定時に登録したアカウント(メールアドレスとパスワード)でサインインすればいい(写真の自動バックアップ設定が可能だが後で設定することも可能)。これだけでスマートフォンからWD Cloudのデータにアクセスできる。標準では、自分しかアクセスできない専用のホームフォルダ(自分の名前のフォルダ)と、家族などWD Cloudのユーザーとして登録したほかのユーザーとデータを共有できる「Public」フォルダが表示される。
いずれかにデータを保存しておけば、スマートフォンから参照可能で、外出先で写真を表示したり、動画を再生したりすることができる。
試しに、ビデオカメラで撮影したMP4の動画をLTE回線経由で再生してみたが、再生操作後すぐに再生が開始されたうえ、動画の再生そのものもスムーズだった。もちろん、スマートフォンの場合は通信量に注意する必要があるが、アプリ側でキャッシュにデータを蓄えながら動画を再生できるため、速度の限られたLTE環境でもストレスなく動画の再生ができるのも大きな特徴だ。
スマートフォン向けのアプリ(WD Cloud)も無償で提供される写真も簡単に参照可能LTE経由で動画をストリーム再生可能。非常にスムーズで快適に再生できる活用例2:誰とでも簡単にデータを共有可能
続いて、データの共有機能についてみていこう。WD CloudはNASの一種なので、PCからエクスプローラーのネットワーク経由で共有フォルダにアクセスすることができる。家族でデータを共有するなら、この方法が簡単だ。
写真や動画を共有フォルダに保存すれば、自分のパソコンだけでなく、家族のパソコンやスマートフォンでも同じデータを参照できる。写真などのデータの保存場所として家族みんながWD Cloudを活用すれば、「あの写真どこだっけ?」などと、PCや外付けHDDを探し回らずにも済む。
もしも、外部の人とデータを共有したいなら、OneDriveやDropboxなどのクラウドストレージサービスと同じように、共有リンクを作ってファイルを共有するのが簡単だ。wdcloud.jpからサインインし、WD Cloud上のファイルの中から共有したいファイルを選択して「共有リンク」を作成すると、そのファイル専用のURLが作成され、メールで特定の相手に送信することができる。
URLを知っている人なら誰でもダウンロードできるリンクだけでなく、招待した相手のみがダウンロードできるリンクの2種類を作成できるので(相手もWD Cloudへの登録が必要)、写真やビデオなどプライベートなデータを送信したい場合にも重宝するだろう。
共有リンクを作成して外部の人とデータを共有できるこのほか、デバイス間でのデータ共有も可能だ。同社のWebページから無料でダウンロードできる「WD Sync」アプリをPCにインストールすると、PC上の特定のフォルダのデータをWD Cloudと自動的に同期することができる。
自宅と会社、デスクトップとノートなど、複数のPCにWD Syncをインストールしておけば、すべてのPCで同期された同じデータを使えるというわけだ。同期は、必ずしも自宅ネットワークに接続したときだけに限らず、外出先でも利用できる。このため、たとえば、出張先で文書ファイルを編集した場合でも、それが自動的に自宅のWD Cloudと同期される。外出先でやりかけた仕事の続きを自宅や会社で続けたいときなどに便利だろう。
フォルダの同期を使えば複数機器でデータ共有ができる活用例3:大切なデータは自動でバックアップ
スマートフォンの写真を自動的にWD Cloudにバックアップすることもできるもちろん、データのバックアップにWD Cloudを活用することもできる。バックアップは、PCも、スマートフォンも可能だが、どちらかというとニーズが高いのは後者のスマートフォンだろう。
スマートフォンのバックアップは、前述したWD Cloudアプリを利用する。初期設定時に写真の自動バックアップを設定するか、後から設定画面で自動バックアップを有効にすると、スマートフォンで撮影した写真が自動的にWD Cloudに保存されるようになる(標準ではWi-Fi接続時のみ)。
スマートフォンのストレージ容量は限られているため、たくさんの写真を保存したままにすると、スマートフォンの空き容量が足りなくなるが、こういったケースでもWD Cloudは役立つ。スマートフォンの写真をWD Cloudにバックアップ後、本体から写真を削除すれば、容量不足を解消できるというわけだ。
一方、PCのバックアップには、「WD SmartWare」と呼ばれるバックアップ用のソフト(無料)を利用する。実際に使ってみると、このソフトはなかなか賢い。
一般的なNASに添付されているバックアップソフトの場合、時間などを指定して指定したフォルダを定期的にバックアップするが、本製品ではフォルダ単位でのバックアップに加えてカテゴリごとのバックアップが可能。標準では写真や文書など一般的なデータを自動的に探してバックアップすることができる。このため、デスクトップなど一時的に保存したデータなども自動的にバックアップしてくれる。
バックアップのタイミングも時間指定だけでなく、リアルタイム、つまりファイルを更新したタイミングで自動的に実行することが可能だ。これにより、万が一、大切なファイルが失われたとしても、最後にファイルを更新したタイミングに復元することができる。1日ごと、1週間ごとにしかバックアップを実行できない他の製品とは違って、最新のファイルが常にスタンバイしているというわけだ。
また、Mac OS XのTimeMachineにも対応しており、Mac OS Xのバックアップ先としてWD Cloudを利用することもできる。
こういったあたりのソフトウェアの完成度の高さや実用性の高さは、さすがストレージを長年扱ってきたWestern Digitalならではといったところだ。
WD SmartWare。その名の通り、とてもスマートなバックアップツールMacからも利用できる。TimeMachineのバックアップ先として指定可能このように、WD Cloudを利用すれば、データを単に保存するだけでなく、さまざまな方法で活用可能だ。このほか、メディアの再生機能も豊富だ。DLNAサーバー機能によって、WD Cloudに保存した写真や動画をDLNA対応のテレビなどで再生できるのはもちろんのこと、iTunesサーバー機能を搭載しており、WD Cloudに保存した音楽をiTunesからネットワーク経由で再生することができる。
WD Cloudアプリを利用すれば、スマートフォンでWD Cloud上の音楽ファイルをストリーミング再生することもできるため、WD Cloudをクラウド音楽配信サービス的に活用することもできるだろう。