OPPO(オッポ)は12月15日、毎年恒例の発表会「OPPO INNO DAY」にて、新作スマートフォン「OPPO Find N」を発表した。本製品は、4年の研究期間と6台のプロトタイプを経て登場した、OPPO初となる折りたたみ機構を採用したスマートフォンだ。【写真】「芸術作品」と謳うOPPOの折りたたみスマホ 近年、ディスプレイを折りたためる「フォルダブル(foldable)」機構を搭載したスマートフォンが続々登場している。各社趣向を凝らした製品を投入しており市場が盛り上がりを見せているが、遅れて登場した本製品にはどのような魅力があるのだろうか。 今回は、「OPPO Find N」の気になる点を中心に、他社製品との違いや本製品独自の要素について考察していきたいと思う。 ただし、本製品は現時点では中国のみの流通となり、日本での発売は予定されていないので注意してほしい。 まずは「OPPO Find N」の製品概要を見ていこう。 サイズは、閉じた状態で、高さ132.6mm×幅73mm×厚さ15.9mm。開いた状態は、公式サイトでの記載がなく、確認できない。ディスプレイは、閉じた状態で5.49インチ、開いた状態で7.1インチとなっている。 アウトカメラは、SONY製のIMX766センサーを搭載した広角5,000万画素、超広角1,600万画素、望遠1.300万画素の3眼構成だ。インカメラは開閉状態どちらにも付いており、3,200万画素の単眼カメラを搭載している。 SoCはSnapdragon888。メモリ/ストレージは、8GB/256GB版、12GB/512GB版を用意。バッテリーは4,500mAh、ワイヤレス充電対応だ。 カラーは3色ありで、星夜(ブラック)と云端(ホワイト)と浮光(パープル)。価格は、8GB/256GB版で約14万円、12GB/512GB版で約16万円だ。 OPPOは先発するSamsungやXiaomi、Huaweiなどを追う形で、フォルダブル市場に参入した。同市場においては特にSamsungが積極的に製品を展開しており、「Galaxy Zシリーズ」は、すでに3世代目まで改良を重ねている。そんな市場の先駆者がいる中でOPPOは「価格」によって他社との差別化を実現した。 現在のフォルダブルスマートフォン普及における最大の障壁はその価格にある。Samsungの「Galaxy Z Fold 3」は、docomoやauの一括払いで約24万円。Xiaomiの「Mi MIX FOLD(日本未発売)」は、約18万円ほど。Huaweiの「HUAWEI Mate X2(日本未発売)」に至っては、約32万円と高額だ。 一方、「OPPO Find N」は、8GB/256GB版が約14万円。もちろん一般的なスマホに比べれば高いことは否めないが、フォルダブル市場においては比較的安価だということがわかる。Samsungが今年10月に発売した最新のフォルダブルスマートフォン「Galaxy Z Flip 3」と比べてもほど近い価格設定は魅力的だ。 まだまだユーザー数の少ないフォルダブル市場において、最初の1台に選んでもらうことは何よりも重要だ。価格は、購入を後押しする決定打になる。 加えてOPPOは先端技術やデザインにも力を注いでいる。 公式サイトによればOPPOは、スマートフォンを工業製品ではなく、芸術作品と捉え、「先端テクノロジーと究極の美しさを兼ね備え、ユーザーを美の世界に引き込むものでなければならない」、と語っている。 本製品にもその精神性は発揮されており、ディスプレイにはOPPOがカスタマイズした12層構造のシリーンディスプレイが採用されている。OPPOは「通常のスマートフォンのガラスが0.6mmであるのに対し、0.03mmの「Flexion UTG(超薄型ガラス)」の層を追加することで、強力な耐久性を備えながらも容易に曲げることができます」と説明している。また20万回以上折り曲げても、折り目がほとんどつかず、全体的にスムーズな動作を維持できるということだ。 そして、先端技術だけではなく、優れたデザイン性も見逃せない。 本製品はOPPOの中では、フラッグシップに位置づけられるFindシリーズから登場した。背面デザインやカメラモジュール周りには、2021年にグッドデザイン賞を受賞した「OPPO Find X3」を受け継いでいる。人間工学に基づきデザインされた本製品は、製品の両端部分に「3Dカーブデザイン」を採用し、手にフィットする形を実現した。通常のスマートフォンよりも厚みがあるフォルダブルにとって、最初に手にしたときの持ちやすさは何よりも重要であり、これも本製品の大きな魅力であるといえる。 ここまで「OPPO Find N」について解説してきたが、ユーザーを多く獲得する上でのフォルダブルスマートフォンが抱える課題は、いまだ残っているといえるだろう。例えば、閉じた状態の厚みは今後も改善されることを期待したい。。本製品は、厚さ15.9mmで、一般的なスマートフォン2台を重ねたような厚みがある。 通常のスマートフォンと同じ厚さになれば、より需要が増えることは間違いない。その点では、OPPOが以前、コンセプトモデルとして発表した巻き取り式スマートフォン「OPPO X 2021」の方が優れていたといえる。(しかし、こちらの続報は届いていない) 今年はアジア圏を中心にフォルダブル市場が盛り上がった一年だった。近い将来には価格も、10万円を切る可能性が高い。スマートフォンの新たな選択肢として一般層に認識されるのも時間の問題だろう。唯一残念なのは、こうした盛り上がりの中に国産ブランドが存在しないことだ。(参考文献)https://www.oppo.com/jp/https://www.oppo.com/jp/newsroom/stories/findn/https://www.oppo.com/cn/smartphones/series-find-n/find-n/https://www.oppojapan.com/brandstory/technology/design/
菊池リョータ