「わが社が今秋発売するスマートフォン『Mate40』は、自社開発の半導体『麒麟(Kirin)9000』を心臓部に搭載する。これがフラッグシップ向け麒麟シリーズの最終世代になるだろう」。中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)のコンシューマー製品部門CEO(最高経営責任)を務める余承東氏は、8月7日、ファーウェイの本拠地である広東省深圳市で開かれたIT業界のフォーラムでそう述べた。
麒麟9000は世界最先端の5ナノメートルのプロセス技術を採用しており、ファーウェイはその生産をファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に委託していた。ところが今年5月15日、アメリカ政府がファーウェイに対する追加制裁を発動したのを受け、TSMCはファーウェイからの新規受注を停止した。
追加制裁には120日の猶予期間があり、その間は過去の契約に基づく製品の供給は続けられる。だがアメリカ政府が制裁を緩和しない限り、9月15日以降はTSMCからファーウェイへの供給は途絶える。
「ファーウェイは半導体の設計に専念し、製造は自ら手がけなかった。それゆえ9月15日以降はフラッグシップ向けチップを調達できなくなってしまった。これはわれわれにとって甚大な損失だ」(余氏)
Mateシリーズはファーウェイにとってアップルの「iPhone」やサムスン電子の「Galaxy Note」に相当するハイエンドの看板機種であり、スマホ事業全体のイメージを牽引する重要な存在だ。そこに搭載してきた麒麟シリーズが生産できなくなれば、Mate40の後続機種の開発に深刻な影響が及ぶのは避けられない。
本記事は「財新」の提供記事です市場調査会社のIDCによれば、今年4~6月期にファーウェイは5580万台のスマホを出荷し、初めてサムスンを抜いて世界シェア首位のスマホメーカーとなった。しかしアメリカ政府の追加制裁の発動後、ファーウェイは半導体の供給不足からスマホの生産が思うに任せなくなっている。今後の見通しについて余氏は、「2020年通期の出荷台数は2019年の2億4000万台を下回る可能性がある」と語った。
(訳注:アメリカ政府は8月17日、対ファーウェイの制裁をさらに強化する措置を発動した)
(財新記者:屈慧)※原文の配信は8月7日
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