AI・業務自動化、クラウドコンピューティング、情報セキュリティ、モバイル活用など全10部門のIT専門展からなる『Japan IT Week 秋』が2017年11月8日から10日の期間、千葉県幕張メッセで開催された。下半期最大級のIT専門展である『Japan IT Week』では、各部門ごとにさまざまな商品・技術・サービスを紹介するブースや商談スペースが用意され、出展企業640社、来場人数約4万9000人と大規模な商談展示会となった。今回は展示ブースのひとつ「AI・業務自動化展」に注目した。サービス業における人材不足が課題となっているいま、AIやロボットの労働力は見逃せないものとなっている。そこでサービス業の人材不足解決の一助になりそうな商品・サービスを紹介しよう。■専門技術がなくてもロボット作成ができる『ロボパット』今回の「AI・業務自動化展」ではRPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス。・オートメーション)の出展が多く見られた。RPAとはPCのモニタに映し出されたアプリケーション画面を識別し、人間と同じような操作を行うことができるソフトウェア(ソフトウェアロボット)。プログラミングのような専門技術は特に必要なく、あらかじめ設定した手順に従って動作を行うものだ。株式会社FCEプロセス&テクノロジーの『ロボパット』は、ITやシステムに詳しくない業務部門や事務職向けに作られたRPA。PCのデスクトップ画面に表示された画像を認識することができるため、人間がマウスとキーボードで行った操作を『ロボパット』に覚えさせる(あらかじめ人間が行った動きをトレースする)ことで、入力業務、集計業務、データ加工、メール送信、ファイル保存などの事務的な業務を自動化することができる。また画像を認識して自動操作を行うので、システムやアプリケーションを問わずに使えることも特徴的だ。『ロボパット』の契約期間は月単位であるため、例えば決算期の繁忙期に導入台数を増やすなどフレキシブルに契約をすることも可能。コストをかけずに業務の自動化を図るといった使い方ができそうだ。■統計学を使って勤務シフト作成を自動化サービス業の人材不足という課題において、しばしば問題となるのが従業員のシフトではないだろうか。勤務表作りにかかる膨大な時間、急なシフト変更発生による勤務表の修正、さらには従業員側の不平・不満など、スケジュール管理者の頭を悩ませる問題は多い。コニカミノルタジャパン株式会社の提供するスケジュール最適化クラウドサービス『Optamo!』はそんなスケジュール管理者の悩みを解決するツール。あらかじめ『Optamo!』に必要データ(従業員のスキルやコスト、ポジションなど)を入力しておくことで、天文学的な数字となるシフトの組み合わせパターンの中から、統計学とヒューリスティック最適化(組み合わせの一部を変更し、トライアンドエラーを繰り返すことで、膨大な組み合わせの中から最適な回答を見つけ出す技術)を用いて、偏りのないコスト最適化勤務シフト表を自動で作成することができる。これはビッグデータの解析を手がける株式会社モーションが蓄積したデータマイニングのノウハウを活かしたものだ。このように自動化ツールを活用することで、煩雑な作業にかかっていた時間を短縮し、本来の重要な業務の効率化につなげることができるだろう。■マーケティング支援AIロボットでおもてなし株式会社ハタプロの提供する『ZUKKU(ズック)』は、身長わずか10センチ、手のひらサイズのマーケティング支援AIロボットだ。フクロウ型の愛らしいロボットにはSIMカードが内蔵されており、特殊な設定を必要とせずクラウドAIに接続。内蔵されているカメラでその場にいる顧客の年齢・性別・表情・視線などを画像認識AI センサーで解析・取得し、クラウドAIがその場の状況を判断し、顧客に最適な情報や広告をサイネージ画面に自動配信することができる。またZUKKUで取得したデータは、プライバシーを侵害しないセキュアな形式でクラウド型マーケティング管理システムに蓄積することができるので、売り場の戦略決定やサイネージ広告の自動最適化などに活用することも可能だ。ZUKKUは2017年8月より浦和PARCOや伊勢丹新宿本店、ヨドバシカメラ秋葉原店などで試験導入されており、顧客におすすめ商品を提案やデータ蓄積を行っているという。AIやロボットの存在が日常的となりつつある現在、サービス業の現場でもこれらの新戦力の導入が増え始めている。AIやロボットの活用こそが、サービス業の抱える課題解決に有効な一手となると言えそうだ。