折りたたみスマホの開拓時代きたる。
ほんとに最近折りたたみやキャラが立ってるスマホがたくさん出没して、楽しいですよね。そういえば昔はなんじゃこりゃーっていうガジェットがたくさんあったような気がします。こういうデザイン開拓時代的な過渡期を経てどんどん洗練されていくんでしょうね。
MWC(Mobile World Congress)と関連イベントを振り返り、Sam Rutherford記者が2-in-1ラップトップとの歴史にからめてこれからを分析してくれています。
ここ数週間で折りたたみスマホ界隈がにぎやかになってきましたよね。まず先陣を切ったのはこちらRoyole FlexPai。きっと野望と思い入れがいっぱいつまってるんでしょうが、はっきり言って使えませんでしたよね。デカすぎるし開きにくいし、これから開発に開発を重ねないと、どうも数年では使い物にはならないような気配が満載のシロモノでした。
次に登場したのがSamsung Galaxy FoldとHuawei Mate Xでした。このふたつが発表された瞬間に、折りたたみも悪くないなって思えてきたから不思議です。両方ともまったくデザインが異なる点が面白く、それでいてありとあらゆる想像力を駆使して「どのように折りたたみスマホを生活の一部に溶け込ませるか」と脳内再現してみなくてもだいたい使い方が想像できるのがうれしかったですね。まあ、購入できる財源があればのお話ですが。
それでは、これからの2年くらいで折りたたみスマホはどう進化していくのでしょうか。それが今もっとも楽しみな点だと思います。だって現時点のデザインは、言ってみれば「折りたたみスマホの開拓時代」のようなもんです。 デザイン面での大失敗だってじゅうぶんあり得るわけです。今の地点では、Galaxy FoldもMate Xも、どちらもお世辞にも完璧とは言い難いですし。両方ともいいところもあれば、よくないところもあります。
山折りタイプのHuawei Mate Xは、とってもシンプルなシャーシを使い、 Galaxy Foldと比較してとてもスリムなプロフィールとなっています。ボディは非対称デザインとなっており、グリップ部分を強調しつつそこにハードウェアを詰め込んでもいます。
露出する外側部分の画面の素材をプラスチックにしたのは少々リスク高かったかも。細かい石や鍵など、人間のポケットや財布に入る可能性のあるもので傷つく危険性があります。 でもMate Xはポケットから落っことしても大丈夫。固いアスファルトに落としたってガラス素材でなくプラスチックだから傷ついたりやひび割れすることがありませんよね。HuaweiはMate Xのための専用ケースを用意していますが、保護ケースというよりはちょっとおしゃれなスリーブといった感じで、あまり頼りにはなりそうにありません。
スマホの両側に画面があるわけですから、閉じたときには一方にしかカメラは必要ありません。Mate Xのカメラ部分は一か所で済む話で、セルフィーを撮るときはスマホ自体を回転させればいいだけのことです。
一方、SamsungのGalaxy Foldは薄さを犠牲にしたからゴツイです。Galaxy Foldには触れる機会がありませんでしたが、Mate Xは少しいじることができました。中折のクラムシェルデザインはふだん使いにも耐える設計なのかなと思えました。
開いた部分の裏側についてはまだまだ機能向上の余地ありだと思いますが、SamsungはGalaxy Foldにワイヤレスチャージ機能をつけています。Foldの前面には(他よりちょっぴり小さい)3つめの画面があり、このガラス製の画面で通知を見たりメールをチェックしたりできるわけです。通話用のイヤーピースは上部についており、電話に対応しています。Galaxy Foldの大きなヒンジも激しい開け閉めに耐えられるかもと思わせてくれます。
7.3インチという大きな画面をデバイスの内側に仕込むわけですから、Samsungは端末をどう使ってもカメラをローンチできるように、至るところに6台ものカメラを搭載する羽目になっています。さらに残念なことにSamsungはこれまで作ってきた携帯ではノッチの排除に命をかけてきたといってもいいのに、 Galaxy Foldは歴代初のノッチつきデバイスとなってしまいました。
Galaxy Foldのような中折りタイプの画面の弱点は、閉じたときに折りたたむとしわになってしまう可能性があることです。これは画面とっては最大の弱点ではないでしょうか。画面がしわによって見にくくなるなんて。ありえません。
そして、Galaxy FoldもMate Xも指紋センサーには妥協しています。Galaxy S10 やMate 20 Proに搭載していたようなディスプレイ下の指紋認証ではなく、Samsungも Huaweiも端末の横に指紋リーダーをつけてきました。
いろんな意味で、これらを総合すると2-in-1端末の初期を彷彿とさせます。現在の洗練されたハイブリッドに落ち着くまで、いろんな会社がいろんなヒンジにトライしてきたあの歴史の再来です。2002年のThinkpad 1171はセントラルヒンジを特徴としていますが、このヒンジにより、ディスプレイを前後に倒すことができるだけでなく、くるっと回転させることもできるようになっています。
また2012年のDell XPS 12にはフローティングヒンジに、これまたローティングヒンジをつけて画面を別のアングルから回転させる離れ業を編み出しています。2013年のLenovo Yoga 2 Proではキーボードを隠せるような仕様にしてタブレット感をアピール。タブレットモードにしたときにもキーボードを損傷する心配がなく安心して使えるようになっていました。
さらにすごいのは、2012年のMicrosoftでしょう。あのSurface RTは、ポート数の少なさや打鍵の浅いキーボード、OSの制限など、いろんな面で残念なラップトップでしたが、Surface RTはデザインだけは啓示的でした。Microsoftは世界初のまともな切り離しできるデタッチャブルPCをこの世に送り込んだんですから、すごいもんです。2-in-1というカテゴリーをキックスタンドつきスレートと取り外せるキーボードというふたつの構成部にまっぷたつにすることに成功しています。これ以降ラップトップ業界はこれらの基本デザインのハザマをいったりきたりしているわけです。
で、折りたたみ携帯はまさに今ここにいます。可能性は無限大。なんですが、まだどのメーカーも決定打を打ちだせていません。これから2~3年は、メーカーがこぞってまったく新しい形のガジェットを作りにくるでしょう。ヘンテコなのやカッコイイの、どんなのが出てくるか、それらを見るのが本当に楽しみです。
キワモノが台頭する時代に生まれてよかった。