Engadget Logo エンガジェット日本版 Google Play非対応のファーウェイP40 Proはどこまで使えるのか試してみる(本田雅一):2020ガジェットレビュー

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  • 沿って huawei
  • 14/09/2022

そろそろ2020年も終盤戦。今年もたくさんのガジェットが発表され、弊誌にてレビュー記事が掲載されました。そんな記事のなかでも、著者や編集部がイチオシと考える製品をピックアップしてもう一度お届け致します。

これは2020年6月6日に掲載された記事の再掲載です。記事中に登場する価格や機能、画像などは当時のもので、現在は異なる可能性があります。

いつもなら最新のカメラ技術が詰め込まれたファーウェイのPシリーズ。最新機種が発表され、いつもならどんな画質・機能を実現しているかが大きな話題になっている時期だが、今年はどうしても別のところに目が行ってしまう。

もちろん、最新モデルのP40 Proには独自開発SoCを使った最新のカメラが搭載されている。筆者の手元に届いた評価用端末を短時間ながら試しているが、確かにカメラは大きな進化を遂げているようだ。

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機械学習による自動フォトレタッチとも言えるマスターAIも、以前ほど不自然な加工は行わなくなったような印象はある。カメラについては、しばらくiPhone 11とも比較しながら使ってみたいと思うが、やはり気になるのは米中貿易戦争の煽りでGoogle Mobile Services(GMS)に対応できなくなったことだろう。GMSに含まれるアプリの多くは他アプリで代替できるが、アプリマーケットのGoogle Playは代替することが難しい。

ファーウェイは「HUAWEI Mobile Services(HMS)」を搭載し、GMSがなくとも十分に使えることを訴求しているが、果たしてAppGalleryはGoogle Playの代替となり得るのか。

結論から言えば、少なくとも日本市場においてAppGalleryをアプリマーケットの中心に据えてスムースに使うことは難しそうだ。HMSもよく作り込まれ、使いやすくできていることは確認できるが、セットで用意されるべきサービスが間に合っておらず、未成熟という印象だ。

ただし、アプリマーケットに関してはトリッキーな方法ではあるが、Amazonアプリストアをインストールすることで、ある程度は使いこなすことができるだろう。

日本の環境に馴染みきれていないHMS

冒頭で「未成熟」とすでに書いたが、ファーウェイのAppGalleryは、そもそもGoogleがサービスを展開していない中国市場で、ファーウェイが用意しているアプリマーケットプレイスだ。

HMSも同様で、Googleのサービスが必要ない中国向けに作り込まれているものなので、どれもそれなりに作り込まれている。カレンダーは(少なくとも日本で使えるサービスは)Microsoft のExchangeしか設定が現れないものの、メールに関してはGmailを含む主要サービスがカバーされており、手動でのIMAP設定なども行えるため不便はなかった。

むしろ機能、パフォーマンスなどはよく、使いやすいとさえ感じたほどだが、Googleのカレンダーに未対応なことからもわかる通り、日本(というよりも中国の外)におけるサービスとアプリのすり合わせは完璧とは言えない。

例えば音楽アプリ。ダウンロードした音楽ファイルを再生するのには使えるものの、ストリーミングサービスを使おうとすると「このサービスはご利用の地域では提供されていません」と出てくる。

ビデオアプリでは、中国向けの映画やテレビ番組が中心に並ぶ。トレンドというタブに切り替えると日本語コンテンツが多数あるように見えるが、これらは映画の予告編を配信しているサービスに繋がっているだけだ。有料コンテンツサービスもTVBというブランドのもので、これは香港の無綫電視というテレビ局のブランドである。

グローバルでトップクラスの開発力を誇るファーウェイとはいえ、さすがに短期間でアプリとサービスを各国ごとの事情に合わせて作り込むことは難しかったということだろう。特に映像作品は各国ごとのローカルなコンテンツが多く、音楽に関しても同様。さらには物理的なコンテンツ販売が中心だった時代の名残もあって、頒布権も国ごとに別れているからだ。

HMSでカバーできない部分をサードパーティのアプリで補えなくはないが、そのためにはAppGalleryの充実が不可欠になってくる。

AppGalleryはどこまで使える?

中国では圧倒的なシェアを誇るファーウェイだけに、AppGalleryのユーザーはそれなりに多い。発表会では4億人以上が使っていると発表していたが、その大多数は中国国内のユーザーではないかと推察される。

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中国の場合はGoogle Play、いわばプラットフォーム提供者の公式マーケットがないため、端末公式のアプリマーケットとなるAppGalleryを通じてアプリベンダーがアプリを配布している。

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また、Microsoftのアプリは「Office」アプリがプリインストールされており、この中でOffice 365にサインインすると各種アプリをインストールできる仕組みだ。MicrosoftがAndroid向けに提供するアプリならば、この中でインストールからアップデートまでの管理が完結する。

ちなみにP40 Proには文字入力環境としてMicrosoftのSwift Keyboardが初期導入されており、中国で事業を展開しているMicrosoftのソフトウェア資産をフルに生かしている印象だ。ところが、実際に各アプリをインストールしようとすると「この地域では提供されていない」と表示される。単なるバグ、設定ミスなのでなければこれは痛い。もちろん、簡易的な使い方ならば、Webブラウザ経由でも問題はないのだが。

もちろん、それだけではカバーできない領域もある。例えばTwitterは中国本国から使えないサービスだ。AppGalleryには公式アプリが登録されていたものの、FacebookやFacebook Messenger、傘下のInstagramといったサービスのアプリは登録されていない。

AppGalleryを検索すると、ウェブを通じてGoogle Mapから取得する地図を表示するコンテナアプリが見つかるが、正常に現在位置を把握できるものは見つからなかった。発表会でNAVITIMEを利用可能にしたと訴求していたのは、こうした事情があるからだろう。

なおGoogle Mapに関しては、いったんブラウザのOperaをダウンロードし、Opera上で動かすアプリとしてホームボタンにリンクを貼り付けることで、機能的にはほぼ問題なく利用できた。Opera上でウェブアプリを動かす手法は、FacebookやInstagramなどでも利用可能だ。

……とはいえ、"日本で使われているサービス"に弱いことに変わりはなく、ファーウェイが準備していないアプリも多い。動画配信アプリとして「U-NEXT」、SNSとして「LINE」は用意されているが、日本では定番のカレンダーである「TimeTree」やテレビ見逃しサービス「TVer」はAppGalleryにない。音楽ストリーミングサービスの「Apple Music」「Spotify」「AWA」なども見つからない。

Amazonアプリストア経由で日本向けアプリも

しかし、だからと言って安全性が確認されていないアプリケーションパッケージをダウンロードして導入という使い方は、例え使い慣れたユーザーでもお勧めできない。いわゆる野良apkにはウィルスやバックドアの危険性がある。

AppGalleryに未登録のアプリは、検索するとGoogle Playと突き合わせて対応を「リクエスト」できるため、対応を望むユーザーが多ければいずれ登録される可能性があるかもしれない。アプリ内課金が必要なアプリや、アプリ内広告で収益を上げているアプリなどはAppGallery向けの手直しが必要だが、完全無料アプリの多くはそのまま利用できるだろう。

唯一、突破口と言えそうなのは、Amazon.co.jpのアプリストアを用いる方法だ。https://www.amazon.co.jp/androidapp にアクセスしてアプリをダウンロード、インストールし、Amazonのアカウントを登録すればKindle Fire向けのアプリやコンテンツを楽しむことができる。

それらの中にはFacebook、Facebook Messenger、Instagram、Spotify、AWAなどもある。もちろん、Amazon自身が提供しているAmazon Music HD、プライムビデオも楽しむことが可能だ。

ただしTVer、Apple Music、Netflixなどは引き続き利用できない。10万円を超える価格の端末であることを加味すれば、現時点では相当に厳しいと言わざるを得ない。

AppStore、Google Playに次ぐ第三極を作りたいならば

冒頭でも書いたように、AppGalleryやHMSは中国に限って言えば十分に機能しているのだろう。多数のアプリマーケットが点在し、選べることも理由のひとつだ。しかし日本では事情が異なる。Google Play並が難しいとしても、せめてAmazonアプリストア+αの充実度は欲しいところだ。

P40 Pro自身は操作性がこなれており、パフォーマンスも良好。iPhone X系の操作に慣れていれば、持ち替えても違和感なく利用できる程度には洗練されている。だが、肝心のアプリマーケットが洗練されていないのでは、スマートフォンとしては及第点を出せない。

例えば、使いたいサービスのウェブにアクセス。そこにAppStoreとGoogle Playのリンクがある、そんなシーンはありふれた光景だ。ここでGoogle Playのアイコンをクリックすると、実際にログイン画面にまで到達。Googleのアカウントでログインすると、インストールボタンまでタップできる。

ところがP40 Proの場合は、あたかもアプリのインストールが進行中のようなメッセージが出るものの、実際にはダウンロードもインストールも行われない。GMS非対応なのだから当たり前なのだが、日常的にGMS対応Android端末を使い慣れているユーザーは混乱するのではないだろうか。

一方、ファーウェイお得意のカメラに関しては良い印象だ。これからその画質や使い勝手について、掘り下げて追加のレポートをしていくことにしたい。

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